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唐白磁杯写し 販売終了
商品コード:94238-01

商品仕様: 直径約7.2×幅約9×高さ約6cm 80cc 磁器 日本製
商品説明: 丸い持ち手の秘密

口辺に向かって優雅に開いた美しいカーブ、鋭く削り出された高台のバランス。白磁でありながら、光を反射する白ではなく、ゆったりと光を吸収するようなふっくらとしたミルク色の肌合い。
緊張と安堵という相反する要素が無理なく両立する、造形としての完成度の高さが、この唐白磁盃の魅力と言えるでしょう。
そして、私たちを引きつけてやまないもっとも大きなポイントが、まん丸い持ち手にあると思います。
萩原千春さんは、この盃を手にした時、なるほどと気づいたのです。
「この丸い持ち手は、ロクロで挽き上げた高台から削り取っている。」
正円のこの持ち手の造形を、型から抜き取ったのでは、もっとぼやけた輪郭になってしまうはず。ロクロを使わないと、こうシャープにはいかないのだそうです。
しかし、他の追随を許さぬほど焼物の歴史を積み重ねてきた中国の陶工が、この小さなパーツのためだけに、ロクロ挽きをしたとは、ちょっと考えにくいとおっしゃいます。
ちょうど数年前、萩原さんは中国景徳鎮(けいとくちん=江西省東北部に位置する陶磁器の生産地。すでに漢代から陶磁器生産が始まっていたとされる。)の視察に訪れ、熟練の陶工たちの、日本人とはまるで違うスケール感に圧倒されたのだそうです。
手回しロクロは、円盤の大きさが1メートルほどもある大きなもので、回転の速度がすこぶる速く、惰力の大きさで回転時間も長い。このように小さい盃なら、杯なら、ひと回しでいくつも挽き上げてしまうとのことです。
常に確固とした理想のかたちを描き、土をねじ伏せるように造形する姿が、萩原さんの目に焼き付きました。寸分の狂いもないかたちを繰り返し作り続けるための合理的な分業体制の中で、より専門的な知識や経験が集積され、時には、考えられないようなアクロバティックな仕事もやってのけるのです。
土が嫌うなら、敢えてそれに逆らわず、土と折り合いを付けようとするのが、日本の陶芸の心でしょう。
中国陶芸の造形的完成度の高さは、こういう背景から生まれているのですね。
萩原さんは、あくまでも推測ですからとおっしゃいますが、およそ1000年前の唐の時代、ロクロ挽きを終えて並び置かれた多数の盃は、乾くと同時に高台が削られ、高台から削り出した持ち手が胴体に取り付けられ、釉薬を掛けられ、窯入れを待つ様子が、そして、流れるように完成していく白磁の姿が、目に浮かぶような気がします。
小売価格: ¥3,300
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萩原千春
1972年 千葉県生まれ
1996年 武蔵野美術大学卒業
    武蔵野美術大学陶磁研究室勤務(〜01年)
2001年 パリ賞受賞。
フランス政府の芸術文化施設「Cite internationale des arts」 に招聘され、パリでの1年間の制作活動。
2003年 千葉県野田市に工房設立
http://homepage2.nifty.com/ceramic-hagihara/html/top.html