|
商品説明: |
小野一さんのベルトポーチ
毎日ガシャガシャ平気で使える、がっしりと肉厚な革かばんが欲しかったのです。けれども、いかにも男の道具だぞ的な、ハードすぎる感じは困ると思っていたら、とうとうめぐり会ったのです。
「Dove & Olive」の小野一さんのかばんは、もちっとしているというのか、たっぷりしているというのか、ごついけれど優しい、なんとも言えない素朴な革の表情をたくわえているのです。
聞くと、栗の木やミモザなどから採取される植物タンニンだけを用いて、トスカーナ地方の伝統技法を忠実に守りながら、1年以上の時間をかけてゆっくりと作られるイタリア製の革を使っているのだそうです。
本来、動物の皮は、乾燥すると板のように硬くなってしまうのですが、樹液や薬剤によって、柔軟で伸縮に優れる革に変化させることを「なめし」といいます。
「タンニンなめし」は、天然の草木に含まれる渋を利用する方法で、古来から行なわれています。
しかし、現在では、塩基性硫酸クロームという化合物を利用した「クロームなめし」が主流で、タンニンなめしと言われる場合にも、いくらかの化合物を含む合成タンニンによるなめしがほとんどということです。
一般的なクロームなめしが3日ほどでなめされるのに対して、タンニンなめしだと、どうしてもその10倍以上のなめし期間が必要になるのですから、何ごとも悠長には待っておられない現代では、無理もないことなのでしょう。
それでもタンニンなめしにこだわる理由は、使用するにつれて現れる差が、あまりに大きいということです。クロームなめしだと、時間とともに表面が劣化し、剥げ落ちや傷みが目立ってきます。その点、タンニンなめしだと、革に含まれるタンニンが紫外線に反応し日焼けすることによって、しっとりとした味わいが生まれてくるのです。
吟面(ぎんめん=なめし加工された革の表面)にアイロン掛けのテカリがなくて、力強くも上品な、100%植物タンニンなめしである“正直な”革を捜し歩いて、やっとたどり着いたこの革の感じは、やっぱりイタリアならではと言える、のんびりしつつ徹底したやり方によるのだそうです。
染色は顔料でなく染料を使うので、しっとりと奥まで沁み入ったニュアンスが分かりますし、その後の経年変化を決定づけるオイルの調合が、他所とまったく違うらしいのです。
今回、倉敷意匠では、このイタリアトスカーナ産の革を使ったオリジナルポーチを作っていただきました。
まず何より、普段の仕事の時に、いつも身に付けておきたい筆記具やら電話機やらをポケットの中へ押し込まなくても済むように、都合のよいベルトポーチが欲しいと思いました。
大きすぎず小さすぎず、過不足なく必要なものが収納できて、動き回っても中身がこぼれたりせず、そして収納した道具が取り出しやすいというのはもちろんです。
市販のベルトポーチのもっとも不便に思うところは、取り外しにくいということでした。たとえば、トイレに入る時、つけたままだと邪魔くさいけれど、ベルトから取り外すのは面倒。さっと取り外せて、さっと取り付けできる工夫はないものか?
そうして、ステンレス製クリップを利用した、差し込み式ベルトポーチが完成したのです。 |
|