吊り編み天竺 ラグランTシャツ(ブラック) M 販売終了
商品コード:28009-11

※手染めは、季節による温度や湿度の変化、その日の調子などで微妙な仕上がりの差が出てしまいます。
また、ある程度の色ムラ・にじみが生じますことを、あらかじめご了承お願いいたします。
商品仕様: 着丈 56 cm, 身幅 44 cm, 裄丈 39 cm 綿100%(吊り編み天竺) 日本製
商品説明: 『吊編み機』のこと

1960年中頃までのアメリカ製スウェットシャツは、『ヴィンテージもの』と呼ばれて、マニアの間ではとても人気があります。プリントのはがれや色褪せは否めませんが、そのどれもが、すでに何百回と洗われているにもかかわらず、意外なほどにヘタっていないのです。その秘密は、当時の綿ニット生地が、『吊(つり)編み機』と呼ばれる機械で編まれていたことにありました。吊編み機は世界ではじめて、ニットの機械的量産を可能にした丸編機です。量産と言っても、現在の丸編機と比較すると生産能力では、 最高5%程度しかありません。機械の性質上、実にゆっくりと生地を編みます。そして編みの工程中、ほとんど糸にテンション(ひっぱる力)をかけない仕組みになっていますので、糸のふっくら感がそのまま生地に残ります。これは生地の嵩高(かさだか)感につながりますし、シャツになった後に使いつづけても素材の経時変化が少ないのです。日本での吊編み機は明治中頃に輸入されはじめ、 台数を増やし続けましたが、昭和40年代以降、 高速シンカー編機などの出現により、 生産能力・採算性が極めて低いうえ、 生地を編み下げるのに職人の熟練した技術が必要なため嫌われ始めました。以来、稼働台数は年々減少していきました。
現在ではその機械はおろか、使い方を知っている職人さんも一握りに。部品もすべて昭和の時代に製造中止になっていますので、新しく機械を作ることが出来ません。古い機械を、更に古い部品取り用の機械から必要なパーツを取って調整して修理・メンテナンスする、といった状態だそうです。そんな前近代的な機械を200台近くもキープして大事に使っておられるのが和歌山県にある『カネキチ工業』さんなのです。なんでそんな古くて遅い機械を今でも大切に使っておられるのかというと、「古いから、遅いからいいんじゃないんです。単なる懐古主義ではありません。吊編み機でないと出来ない編み地があるからなんですよ!」 
天然染めのオリジナルTシャツを作られている京都の『手染メ屋』店主・青木正明さんが、ネットサーフィンしている中で、たまたまカネキチ工業さんを見つけたのが2006年末のこと。
「アパレル会社で企画の仕事をしていた時から足掛け10年以上ずっとずっと夢見ていた素材でした。でもこの吊天竺(吊編み機による天竺編みのニット生地)を編んでくれる工場というのがもう日本に数軒しかなくて、それが何処でやっているのかもわからなかったんです。飛び込みで和歌山に伺って、手染メ屋用の吊天竺を作っていただける運びとなった時、これには本当に感激いたしました。オーガニックコットンで、吊天竺で、そして天然染料の色目。これぞずっと以前から夢にまで見てたTシャツです!」と、興奮気味に話す手染メ屋さんのTシャツボディは、脇縫いをなくすために、各サイズごとに専用に編まれた筒型そのままが使われます。倉敷意匠では、そこのところに目を付けて、筒型のTシャツボディをそのまま使った、「オーガニックコットンで、吊天竺で、そして天然染料の」お使い袋を作って欲しいとお願いしたのです。
小売価格: ¥5,940
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天竺など一部のニット素材は、編み組織と糸の撚りの関係で必ず生地が斜めにゆがみます。この「斜行」を抑えるために、生地に樹脂をかけるなどして固めるのが一般的です。しかし、そうすることは、せっかくの吊り編み独特の風合いを薄めることにもつながりますので、Tシャツ・お使い袋ともに、あえて斜行を止める加工をしておりません。

手染メ屋・青木正明
1967年 三重県生まれ。
1991年 東京大学医学部保健学科卒業。株式会社 ワコール入社。
2000年 株式会社 ワコール退社。 「益久染織研究所」の通い丁稚となる。
2002年 「手染メ屋」開業。

カネキチ工業株式会社
1920年創業。
各種丸編ニット生地を製造・販売する。
保有編機は、吊編み機/約180台(うち稼動台数90台)、
ダブル機/約50台、シングル機/約50台。